古典籍研究会に行ってきました!

9/1に京大で行われた古典籍研究会に行ってきました。

文学部に在籍しながら知らない事ばかりの古典籍の世界を勉強します!



 1 「古典籍について −図書館の役割−」
  木田 章義 氏 (本会代表/京都大学・文学研究科・教授)

国文の先生。京大の付属図書館の貴重書調査を行う。

  • 古典籍の保存場所
    • 寺院:高野山、比叡山、高山寺勧修寺
    • 公家・大名:陽明文庫(近衛家)、冷泉文庫、前田尊経閣(加賀前田家)、蓬左文庫(徳川家)…
    • 民間人:東洋文庫(三菱)、三井文庫
    • 図書館に寄贈された文庫→文化財の保存場所としての図書館(博物館、文書館的役割だな)
      • 京大:平松文庫、清家文庫、中院文庫…
  • 和本の取り扱い方
    • 和本の取り扱いは洋本の癖をなくすこと。机の上において見るのが原則(知らなかった…)
    • 力加減が分からなくなってしまうので素手が一番!No手袋
  • 紙の種類・装丁
  • 版本の歴史
    • 百万塔陀羅尼(最古の印刷物。スタンプかもという説も出てきている。スタンプだとインクだまりがある)
    • 春日版、浄土教版、高野版…折本
    • 五山版…冊子本に
    • 堺版:民間最古。当時栄えていた
    • 大内版、日向版、薩摩版:地方の出版。応仁の乱で知識層が地方へ移動。
    • 古活字版:朝鮮版の影響
    • 慶長勅版
    • 光悦本:漢籍から和本へ内容が柔らかいものに。町人の力が上がった証拠

→江戸の版本へ

  • 版型(江戸)…大きさで大体の内容が予想できる。高級な紙は堅い内容
    • 美濃版(大本):漢籍・仏典
    • 半紙本:読本
    • 中本:俗本、双紙

「いわゆる雑本について今の価値観で判断してはいけない。100年後はどうかを考える。研究対象は変化している」
→昔のビラとか広告とか何が研究材料になるかなんてわからないよね。マンガとか大学図書館の弱い分野はやばいかも。


採用試験の時に勉強したなーと思い出しました。
あと虫退治に電子レンジという話が衝撃的でした。



 2 「古筆切概説 ―書誌の取り方・活用方法を中心に―」
  舟見 一哉 氏 (本会副代表/神戸市立高専・講師)

  • 古筆切とはなにか
    • 古筆:平安〜鎌倉期の優れた和様の筆蹟
    • 古筆切(断簡):古筆によって書かれた古典籍を分割したもの。原則南北朝期(現在は室町期も含む)

物理的に古典籍が破損してできたり、信仰の対象として分割されたり、鑑賞品として切断収集されたりしていた。

古筆鑑定業ができる。

極札(古筆鑑定家の鑑定書):鑑定結果の筆者名+古筆切の書き出し語句(さらなる分割を阻止)+極印(鑑定家の家印)


  • 古筆切の書誌
    • 紙のサイズ
    • 紙の種類
    • 書写年代
    • 一面何行
    • 字高(ツレを探すのに有用。紙のサイズだと痛んだ時に切ってしまうから)
    • 極札の有無・内容
    • 和歌の場合:和歌一首を何行書きにしているか(書写年代の手がかりになる!ヘエ〜)、和歌の詞書が何文字下げか


一面何行や字高は考えなかった。ツレを探すのに有効というのは研究者の視点。研究者・利用者が必要としているポイントが分かれば書誌事項の必要性が分かる。

  • 古筆切のデータベース


日本文学WEB図書館
株式会社古典ライブラリー

国文学研究資料館古筆切データベース
古筆切DB




研究会に行く前にあわてて読んだ本。古筆切も載ってて予習できました。


とっても勉強になりました。古筆切は全く知らなかった!
研究者の方のお話が聞ける機会は貴重です。主催者の皆様ありがとうございました。(お茶と阿闍梨餅まで!)

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