kul150回目「ライデン大学図書館の日本古典籍資料と向き合って」

訂正7/18 151回目→150回目
記念すべき会と言ってたのに。失礼しました。ご指摘ありがとうございます。



ku-librarians勉強会の記念すべき150回目「ライデン大学図書館の日本古典籍資料と向き合って」というタイトルで、NDLの奥田さんのお話を伺いました。


2月の勉強会の渡辺さんからのご推薦で実現した企画です。つながっていくのはうれしいです!

  • 簡単にまとめると…

オランダのライデン大学という日本との所縁も深いところに、長期派遣で2年間滞在されていた。修士過程の課題で、蔵書のデジタル化のプロジェクトマネジメントを考える。

ライデン大学の古典籍はとても珍しいというものはなく、日本にあるものも多く、すでにデジタル化されているので意義はあるのかと考えてしまった。古典籍への書き込み、ラテン名とか所蔵のメモとか押し葉とか…こういうのも含めてデジタル化してはどうか。

さらに修士論文を書くために、日本古典籍の中でもホフマンコレクションの調査。旧蔵書目録や来歴情報をまとめる。今後はもっと文脈を広げたい。(ヨーロッパ言語学史からのホフマン、中国資料蒐集におけるホフマン、ヨーロッパにおける1880年以前の日本資料流通といった観点)

オランダでのデジタル化は欧州デジタル文化遺産プロジェクトやデジタル遺産ネーデルランドというワンストップポータルが作られている。
国際共同の研究に企画運営に携わる図書館員について、情報交換したい。

  • 気になったところ
    • 筆跡やナンバリングを基にホフマン蔵書を特定していく過程がすごく面白い。「自分の目を信じるだけでなく、それ以外の資料で裏付けを取る。」探偵のように、付与されている記号や数字を追いかけて、ホフマンの棚に並んでた順ということが判明したというのは鳥肌ものです。
    • 「日本から言った人がやって日本だけで評価するのではなく、現地の人も巻き込みたい。オランダの人にとってのメリットは何かを考えないといけない。資金も獲得できない。日本向けの目録だけでなく、現地の人と協力して現地のルールにも適した目録も一緒に作る。」
    • 図書館が貢献できるフィールドはもっとある。「CiNiiで検索できないと存在しないと思われるように、まな板に乗せる・ステージに乗せるのと同じ。

よくわかっていないものは多く持っているところにある。眠ったものが多いところに働いている人はまな板の上に乗せるのも使命。」




勉強会でも感想を求められた時に少し話したのですが、前掛長も蔵書の調査をされるのが好きな方で、お別れの前に「文学部の図書館にはまだまだ面白い本があるので、職員のうちにいろいろ調べてください」と言われて、せっかく蔵書最大の文学部の図書館なんだから何かしたいなと思った。
けど蔵書調査って?書誌学って?てな感じでなにもできず。
奥田さんも古典籍のことは何も知らなかったと仰ってて、驚いた。
少しずつでもどんな資料があるか知るだけでもやってみないと。
まな板に乗せる前の、貯蔵庫に何があるか確認して、レシピを考える感じでしょうか。



そして勉強会全体で思ったことは、もっと意見・質問を言えるようにならないと。
興味深い!と思って聞くことはできるんだけど、じゃあ自分はとか自分の図書館はとか引き寄せて考えるとか、せめて感想くらいは言えるようになりたい。
1年目の新人発表のとき「毎回質問ができるようになる」と目標にしていたのに…頑張ります。


  • [参考]

話題に出てきたオランダのエルゼビアとBrillとの協力。
奨学金は前回の勉強会でも出てきた話題。海外では一般的なのだな。

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Kの参加報告は立派やわ。勉強になります。



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